寄り道

「動物学雑誌」の旧号(明治〜大正年代)をチェックするためにK大図書館へ。この雑誌は大部分国会図書館のデジタルアーカイヴとして閲覧することができるが、所々欠号があるため、全館揃っている図書館で欠号に私の欲しい情報がないかどうか確かめる必要があったのである。

今時、他大学の図書館まで足を運ぶ人というのはあまりいないだろうが、紙の雑誌というのはやはり面白いもので,めくっていくうちに目的以外の論文が目に留まり「え、ここにこんなものが」と驚くことがしょっちゅうある。今回、とても面白かったのは、とある寄生虫の一種が滋賀県では「トンボノコ(大津)」「トンボムシ(彦根)」と呼ばれて,一般の人はこれをトンボの幼虫だと考えていたらしいことである(中にはトンボノコがトンボに成るところを見たという人もいた由)。実はこの寄生虫,今では珍種中の珍種となってしまったムシなのだが、当時は一般の人でも存在に気付き、名前を付けるほど普通種だったということである。今ではどうしていなくなってしまったのか、考えてしまう。他に興味深かったのは関東大震災での各大学や研究所の人員・標本・資料の損害状況をまとめた資料だった。一番最後のところに「教訓」として、標本の転落防止措置を講じることやエタノール等引火しやすいものは標本室や図書館とは離れたところに保管するなど、今日では当たり前の配慮が提案されている。建物自体の耐震性や耐火性はもちろんのこと、当時はこのような資料保管上の配慮も不十分だったわけで、震災でどれだけの貴重な資料が失われたか、想像もできないレベルである。

新入生の皆さんへ

まもなく滋賀県立大へ入学する新入生の皆さんへ。入学式のある4日(木)の朝の最低気温の予報は1度です。彦根はまだ冬です。特に京阪神エリアから来られる皆さん、冬物衣類は連休までしまってはいけません。湖北では今日、雪が降りました。

時間を飛び越えて

新年度の月曜日、早くも大学業務がちらほらと降ってくる。暖房が切れたのに最高気温9度という寒さで、晴れたり時雨れたり天気が目まぐるしく変わる。

論文の引用文献の取り寄せで先週末から図書館に矢継ぎ早に複写依頼している。最近は古い文献はデジタルアーカイヴで取れることが多くなったとはいえ、まだそうなっていない物も少なくなく、明日は他大学の図書館へ直接乗り込むことにした。ところで、1890年代に刊行されたある本のデジタルアーカイヴがないかと検索していたところ、NATUREのページがひっかかった。「?」と思ってみると、その本の書評記事であった。初めて知ったが、NATUREは19世紀のバックナンバーまで全部デジタル化してあるらしい。しかも安直なpdf化ではなくちゃんとhtmlに直してある。それにしても、19世紀に書かれた雑誌記事をhtmlで普通に読めるというのは妙な気がするものである。ともあれ、目的の本のデジタルアーカイヴは存在しないようなので、これも明日、その本を所蔵している図書館で現物チェックすることにする。

こんな日が続けば

年度末の週末。ゆっくり起きて家の掃除、春の野菜苗を買ってきて植え付け。大学で論文を書き進め,春から学生に読ませる文献の物色。とても充実した一日だが、こんな風に過ごせるのも明日まで…。