学会前日

ということで寄生虫学会参加のため北海道へ。昼から、まずは寄生虫学会サイエンスカフェ。雨が本降りになっていたので参加者は少ないのではないかと思っていたが、来られていた方は親子連れも学部生らしき学生も、皆とても熱心だった(目黒寄生虫館に就職したいという人さえいた)。寄生虫学会でのサイエンスカフェは初めてだと思うが、大変有効な試みだと思うし、今後は恒例行事として続けて欲しい。

そして例年通り、形態分類談話会+生態疫学談話会のダブル開催。今回の話題提供者3人はいずれも30代前半の若手というのが嬉しい。目黒寄生虫館のWさんは陸貝の寄生虫に関する報告。でんでん虫にあんなにダニがついている(勿論人には寄生しない)というのは初めて知った。北大のKさんは、しばらく前にニュースにもなったウオノエの系統進化と病害性の話。あとの懇親会では、ウオノエの図鑑を出版するようにあちらこちらからリクエストが出ていた。帯広畜産大のSさんは馬の病原体である媾疫トリパノソーマの進化の話。このトリパノソーマの母種はベクターを持ち、血液に感染する寄生虫であるが、媾疫トリパノソーマは中間宿主をなくし、直接感染するようになったことで一気に分布を広げたという。原虫の出アフリカ。この進化にどのような遺伝子が関わっているかを追求する、とても興味深い話だった。最近の進化研究は、種間差に関わる遺伝子を特定しなければもう”最新の研究"とは言えない状態で、素直にすごいと思う。