空間ワープ

フィリピンでの学位論文公聴会に審査員としてSkype参加。すごい時代になったもんやね。
JC君の結果では、タール湖で寄生虫がいるのはもっぱら底生魚で、淡水イワシなどの遊泳魚にはいないという。ちなみに琵琶湖では、魚も寄生虫も固有種が多いのは圧倒的に沖合帯(プランクトンを生産者とする)で、沿岸は集水域と同じ種類が分布している。琵琶湖やバイカル湖のような多様な固有種を誇る古代湖でも、寄生虫の固有種というのは少なく、おそらく種分化速度が遅いと思われる。そこから類推すると淡水化してから数万年しか経っていないタール湖では、沖合帯の固有種が進化するには時間が足りず、寄生虫空白地帯ができているのだろうかと思う。ただし、「もしかすると海洋起源かも?」という面白い種が1つ2つ見つかっているので、これらの系統をよく調べれば、あるいは比較的短期間で淡水順応した寄生虫の発見となるかもしれない(今のところ、フィリピン国外からの移入、あるいは偶発的分散の可能性が捨てられないので、更なるデータが必要)。

で、審査会終了後、Skypeを切ってデスクで昼ご飯を食べたのだが、なんだか食事中の姿が中継されているような気がして落ち着かなかった。