フル稼働

1限目は概論Iで生物多様性の話。と言っても、寄生虫屋の私が話すので、無条件に多様性万歳の話にはならないし、しない。多様な生物の中には無駄なものも、有害なものも、気持ち悪いものも含まれるが、それでも多様性は必要か?と問いかける。後で出席カードの文を見てみると、「必要だとは思うけれど、虫はキライなのでとても困る」「保全するべきだと自分が思っていたものの範囲が狭すぎたことに気がついた」「やっぱり人間の生活を改善する目的に合うものだけに限るべきでは?」等々の意見もあったが、まず自分の本音はどうなのか考え直すことができたのなら、入門授業としてはまあOKかと思う。
午後はFWで姉川流域の見学会。

ついにあの摩訶不思議な多自然型水路の授業見学が実現した。これを見て学生の感じることも様々だろうが、建築デザイン学科の学生の中には、これが木製ではなく、コンクリートの擬木であることにひっかかりをもっていた人もいたようだ。なるほどそういう観点もある。

ゲンジボタルは若干復活しているらしい。植栽された(多分)ハナショウブの葉に数匹が止まっていた。

浅井町の択伐林の見学。人工林であるが皆伐をせず、大きい木から順に切っては苗を植えるので、幹径はまちまちである。よく手入れされた林は林床植生がとても美しく、ミョウガやミツバなどの山菜も豊富に芽生えていた。
このあと、この川で水生生物採集。先週の反省から、今日は学生に積極的に石を拾わせ、網をもたせ、川の中を歩かせ、なんとかうまく水漬けにすることができた。

ここでもナガレヒキガエルに出会った。滋賀の山地渓流にはかなりいると見える。この個体は赤い斑紋が鮮やかで美しい。

クロサナエ…でいいかな?

姉川河口域の見学。冷水病にやられたアユの死骸がたくさん目に付いたので、これも一種の外来生物問題であることをひとくさり話した。

夜は学生主催のCOP10勉強会に参加させてもらった。現在、学生有志が会議への参加を目指して勉強中であり、今日は洞爺湖サミットと昨年のCOP15に参加歴があり、現在某NGO代表を務める東京農工大の院生が講師に招かれていた。会議の実際の進行方法などの点は私もほとんど何も知らなかったので、とても勉強になった。