国土利用計画審議会で大津へ。今日,会議資料を見ていてちょっと面白いことに気がついた。
現行の県国土利用計画(第三次,平成9年3月議決)では,「県土の利用目的に応じた区分ごとの規模の目標」において,内水面を平成4年の基準値(793㎢)から,平成22年に804㎢に増加させることを目標としていた。以前にも書いたように,これはダムの建設による水面の増加を見込んだもの。そして,「2に挙げる事項(※目標値)を達成するために必要な措置の概要」の項の「県土の保全と安全性の確保」の項目に,次のような文がある。

ア 治水・水資源対策
県土の保全と安全性の確保のため,流域ごとの治水施設・砂防施設等の整備と流域内の土地利用との調和,地形等自然条件に適合した土地利用配置,超過洪水等への対応に配慮にしつつ,適正な土地利用への誘導を図るとともに,国土保全施設の整備を推進する。また,渇水に備えるため,水利用の合理化,水意識の高揚,安定した水資源の確保等の総合的な対策を推進する。

ダムとは一言も書いていないけれど(”国土保全施設”…?),治水と水資源という全く別ジャンルの話をひと括りに扱っている時点で,当時の滋賀県はダムを造る気満々だったことがよーくわかる。目的語がなくても目的がわかるあたり,ある意味名文だ。
ところで,現在審議中の第四次計画での同様の資料を見ると,平成19年の内水面面積は792㎢で,平成4年よりむしろ微減である。ということは,内水面面積に関しては第三次計画の目標はまったく達成できなかったわけで,これがもし大学の中期計画だったら文科省からコテンパンに叩かれるところ。第三次計画の終了は来年なので,その頃,県庁の中のどこかで誰かが深〜く反省しているかどうか見てみよう。それによって,この「国土利用計画」がどれほど現実的なのか判るだろうから。
ちなみに,現在審議中の第四次計画では,内水面面積の目標値(平成32年)は,変化なしの792㎢。これで方針転換を表しているらしい。そのわりには,事務局から出された文案が第三次計画の小手先修正に過ぎなかった(相変わらず県土保全と水資源が同項で扱われている)ので,「もうちょっと書き変えないと変じゃありませんか?」と発言。