米国寄生虫学会年大会要旨集より

米国寄生虫学会は生態学のウェイトが大きいので,興味を引く研究が沢山ある。
寄生虫生態学の大御所Marcoglieseのグループは,ヒョウガエルの寄生虫相を,農薬や肥料を施している農耕地と自然湿地で比較。私と同じようにautogenic/allogenicの比較もやっているらしい。うーん,早く論文が見たい。
ネブラスカ大のBolek, Janovyは,「なぜ北米のカエルにハエ幼虫症が少ないのか?」というタイトル(ウミユスリカさんも興味がおありでしょう)。その答えは「あっという間にカエルを食い尽くしてしまうから」。このハエ(クロバエ科)は健康なカエルに産卵するのだが,孵化後なんと13-16時間で3齢幼虫にまで育つ。産卵されたカエルが小さい場合,ハエの孵化後7−48時間でカエルは死亡,42-59時間で白骨化。恐ろしや。
ユタ大のBushのグループは,種間競争の優位種が捕食者に多く食われることによって劣位者との共存が可能になる捕食者介在共存のエレガントな実験。ハトに2種類のハジラミを寄生させ,羽繕いできないようにして(多分「パラボラハト」状態),対照区(羽繕い自由)と比較するというもの。これは学生実習でもできそうである。
ウィスコンシン大のHeathのグループは,この10年間に湖にゼブラガイが侵入してチョウザメの餌メニューが変化し,その寄生虫相も変わったという報告。これも早く論文が見たい。