魚類寄生虫学(小川和夫著,東京大学出版会)

魚類寄生虫学
教科書かな?と思いきや,違いました。著者の小川先生とその研究室の面々が今まで研究してこられた代表的な5つの分類群に関する研究ストーリーです。魚病を引き起こす寄生虫と一口に言っても,粘液胞子虫,微胞子虫,単生類,吸虫類は分類学的にも遠く,生態も寄生方法も全く異なり,当然研究のテクニックも異なります。そんないろいろな分類群を手がけてこられた先生の研究話で,フィールドの寄生虫学―水族寄生虫学の最前線の一人語り版,と申し上げてよいと思います。研究の目的上,寄生虫の感染によって引き起こされる魚の病理的な変化についての記述が多く,今後魚を見るときに参考になりそう。