にわか分類学者

4月の寄生虫学会で発表する蜆簇楯のプレゼンテーションを作成。しかし,寄生虫の古い分類学の文献は,ほぼ確実にタイプ指定がないし,記述自体が複数の個体の観察結果に基づいているので厄介極まる。今回往生しているのは,生殖腺のサイズが記述によってバラバラなことだ。こんなものはムシの成長の程度や,繁殖期か否かによって相当変化するのではないかと思うが,何もかも一緒くたにして平均値だけボンと出されても解釈に困るだけだ。今回,アメリカで記載された方の種類には奇跡的にタイプ標本が保管されていて閲覧する機会を得たので自分で計測することができたが,文献しか当たれないものはどうしようもない。
なお,今回借り出した米国Natinal Parasite Collection所蔵のタイプ標本は60年前のものだが,非常に状態良好であった。おかげで原記載の重大なミスを3つも発見できた。