休みはどこへ

今日は代休日だが、オープンキャンパスの後片付けと届き物2件があるため昼から大学へ。南から送られてきた某寄生虫調査用サンプルは、九州の悪天候のため遅れる可能性ありと聞いていたが午後便できちんと到着した。A君に手伝ってもらって5時間がかりで検査したが、残念ながら目的のムシは得られなかった。30年ほど前に得られた標本があるきりという種類なので、もう幻のムシになってしまったのかもしれない。

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もう一つの届き物はこれ、なんと美麗なる魚体。

 

10年ぶりの再訪

5月に急逝された日本ハンザキ研究所の前所長・栃本先生を偲ぶ会に列席するため、10年ぶりに日本ハンザキ研究所を訪れました。先生とは福岡教育大時代から面識がありましたが、ハンザキ虫ことLiolopeの研究に当たって大変お世話になり、共著論文も出させていただきました。彦根から片道所要4時間、近畿地方を端から端まで横断する旅です。

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祭壇は研究所スタッフのみなさんが前日にハン研周辺の山で集めた植物で手作りされた、野趣あふれるものでした。とても素敵です。

 

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ミニアクアリウムで飼育展示中のオオサンショウウオ幼体。5歳ぐらいと思われます。つぶらな目がかわいらしい。

 

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ハン研は廃校になった旧黒川小学校を利用したもので、職員室はオフィスに、教室は図書室や展示室になっています。栃本先生による地元の生物標本コレクション。オオサンショウウオのみならず、目につく物は何でも興味を持って調べておられたようです。

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特に充実しているのがキノコ類のコレクション。公立の博物館でも、これだけを揃えているところはあまりないのではないでしょうか。

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ハン研周辺で採集されたキノコだけでもこんなにたくさんあります。

 

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オオサンショウウオのグッズコレクションの展示室。各地のポスターや幟旗、Tシャツ、ポストカードなど。

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そして圧巻の書庫。オオサンショウウオ研究関連のみならず、実に広い分野の文献を収集し、きちんと整理しておられました(寄生虫・魚病関係もしっかりと)。各分類群の生物の図書・文献はもちろん、オオサンショウウオの登場する小説類からマンガ、随筆等ももれなく収蔵されていました。

前回、2009年のオオサンショウウオ研究会朝来大会に参加して以来のハン研で、栃本先生没後の再訪となってしまったのはとても残念でしたが、今日は関係者の皆さんからたくさんの思い出話を聞かせていただきました。オオサンショウウオは寿命が長く(最低でも50年以上で、100年以上という説もある)、先生のライフワークだった個体群研究はまだ研究継続中です。おそらくあと100年ぐらいすれば、栃本先生を初め歴代のオオサン研究者の壮大な連名論文が出ることになるのでしょう。それまで研究を途切れさせることなく受け渡していかなければなりません。

 

 

今年の新作

今年もオープンキャンパスに合わせて寄生虫シールを作りました(自腹)。去年の教訓から画像の彩度をぐっと上げて原図を作ったところ、まあまあうまくできました。図柄はオオサンショウウオ吸虫Liolope copulansのセルカリアです(「湖と川の寄生虫たち」の表紙に使った写真)。

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OC前日

論文を一気に書いてしまいたいのに、明日はオープンキャンパスなので今日は準備なのである。バイトのTさんに手伝ってもらっていつもどおり構内のカワニナを60個ほどセットし、セルカリアを探したが、水温が低めのせいか遊出率がえらく低く、セルカリアが出たのは1個だけ(例年は4,5個出る)。仕方ないので貝をインキュベーターで25度に保持し、さらに追加の貝を60個集めてきて検鏡し、やっともう一つ感染貝を確保した。明日までにあと2,3個出てくれるかなあ。

悩みが増えた

5月からムシのサンプリング、PCRとけっこう苦労を重ねたシーケンスがやっと上がってきたので早速解析してみたら何とも不可思議な結果となった。カワニナではお馴染の核とミトコンの結果の不一致であるが、自分が分析した寄生虫では初めて。今回もおそらく核の結果の方が種分化を正しく反映しているのだろうが、考察が面倒なことになりそう。

FW最終作業

今日はFW採集クールのワーク日。幸いなことに4回とも雨には祟られず、現場作業を行うことができました。学生たちが工夫した作品のいろいろ(※カメラの設定がおかしかったためにピンぼけ白飛びです)。

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真ん中を開けたU字型の水制。流水を多様化させるというよりは、ヤナっぽいものができた感じです(笑)。真ん中にザルを仕掛ければヨシノボリがとれそうです。

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ハの字に並べてみたらどうなるか、検討中。

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2本の水制をややずらして並べてみた班。

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遡上の障害となる80cmの段差を埋めるべく土嚢でゆるいスロープを作ったりもしてみました。