絶滅危惧I類

先月空振りだった,卒業生Yさんのサンプリング出直し戦。今回は、私の昔のフィールドであるI元橋の辺りに狙いを定めた。ここは橋の掛け替え工事のため土砂が流入し,一時はナカセコカワニナがほとんど見られなくなっていたが,最近はどうなっているだろうか。

幸い、貝の密度は十分に復活していた。稚貝もたくさんいて,再生産も順調であることがわかる。
ナカセコカワニナは分布域が宇治川のみと狭いため、環境省RDBでは絶滅危惧I類である。しかし,生息地における密度は高く,河川工事で一時はほとんど消滅した場所でも十分に復活していた。このしたたかさは,分布が狭いといっても遺存固有種ではなく,宇治川の環境に適応して進化してきたばかりの初期固有種である所以だろうか(ちなみに,母種はタテヒダカワニナかその近縁種に間違いない)。なんとなく頼もしささえ感じる絶滅危惧種である。

とにかく川の中全面にうじゃうじゃいて,踏まずには川の中を歩けないほど。

うじゃうじゃ。
その後漁協でまたコウライニゴイを受け取り(今度はI元橋付近で釣るように特に依頼した),帰学。幸い,今度はたっぷりムシが出てきた模様である。先月の貝と魚はU治橋上流で獲ったのだが,あの辺では生活環が廻っていないのであろう。このことは,未だ不明の第二中間宿主が何か,ちょっとヒントを与えてくれそうだ。