この春に大学を卒業したN君からメールが来た。彼は現在,某山間地にある温泉郷でアルバイトをしているのだが,先日,近くの川にホタルを見に行ったら,その川底がコモチカワツボ(らしい貝)でいっぱいだったそうである。
そこは標高1000mに近い地域で,おそらくホタルやカワニナさえも,温泉街の排水に依存してやっと生息できると考えられる。しかし,より冷水性の強いコモチカワツボにとっては,流れの弱い場所さえあれば増殖はたやすいであろう。そして,この貝の移動経路になりうるマスなどの蓄養場は,温泉旅館に食材を提供するため,この辺にはいくつもあるはずだ。
条件は揃っているのだから,いないほうがおかしいほどだろう。コモチカワツボは今のところ在来種を圧迫したりする実例は(日本では)報告されていないが,このような山間部の冷水域に入り込んだ場合,ミジンニナ類などと競合することはないのか。それが気になる。