名古屋へ

名古屋で,農業環境技術研究所による矢作川水系の物質循環に関するプロジェクトの成果発表会があったので聞きに行く。矢作川の研究成果は講義のネタにも使わせてもらっているし,水田の生態系の研究にもひきずりこまれそうになっているので(まだ私自身は横目で見ている,という感じではあるが),お勉強である。
基調講演はH大A岸臨海実験所のMさんだったのだが,これは午前中だったので聞けなかった。午後は矢作川研究所のSさんによる集水域の森林の市民調査の話に始まる。管理放棄のため荒廃しているという植林の実態を,ある程度広い範囲から得られた数値としてみたのは初めてかもしれない。それによると,パラメーターにもよるが6〜8割の植林が(おそらく林学的にみて,ということだろうが)過密でひょろひょろで林床植生の全くない管理放棄林であるということ。
次は農業環境技術研究所・愛知県農試による窒素循環,特に水田域の脱膣機能のはなしで,一番聞きたいと思っていたところ。ところが,どうも出てきた結果だけを見ると,脱膣がさかんに起きるかどうかは,水田の有無よりも,窒素を含んだ地下水の受ける圧力や,地質構造に左右されるらしい。あまりクリアな結果ではない。
休憩時間に,うちのボスO教授にばったり出くわす。一人でこっそり来たつもりだったのだが,考えてみれば名古屋はO教授のホームグラウンドだったっけ。
その後は河川水の影響をうける三河湾の生態系の話が二題,森林の窒素収支の話が一題あった。三河湾のアサリ稚貝の着底は順調らしい。たしか,有明海では筑後川からの砂の流入が減ったために稚貝の着底場所が減って,それを作るために天草のほうからきれいな砂を大々的に搬入していたっけ。矢作川からの砂の補給はダムのおかげでだいぶ減っているだろうに,三河湾のアサリは大丈夫なのか。この違いは何なのかな。
午後4時半過ぎに閉会,駅でちょっと買い物をしてから帰宅。しかし,名古屋の地下鉄って乗っただけで脂粉の匂いがする。恐るべし名古屋嬢メーク。