ウチの学部で,「不耕起・冬期湛水水稲栽培」の研究プロジェクトというのが立ち上がっていて,なぜか私の名前も入っている。今日,第一回目の研究会が開かれた。
不耕起栽培」と言うのは読んで字のごとく耕さない栽培法。理屈はよく判らないが,とにかくこれで作物が栽培できるらしい。冬期湛水は昔の湿田を復元するような感じで,稲刈り期以外は田んぼに水を張りっぱなしにしておくというもの。水田の場合,こうなるとトラクターが入れられなくなるから,必然的に不耕起栽培になる。
なんでこれで稲が元気に育つのかはピンと来ないが,考えてみれば,昔,農作業が人力だけだった時代には,今のようにどこの田もとことん耕していた訳ではないだろう。水はけの悪い湿田では,耕すことが完全に不可能だった場所もあったに違いない(私の故郷神奈川県では,木で組んだ足場を伝わらなければ農作業の出来ないドブ田もあったそうで,田植え中の早乙女が足場を踏み外し,ドブ田のために他の人が急いで助けに行くことが出来ず,村人たちの目の前で泥に沈んでしまったという哀話がある)。そうしてみると,「不耕起」というのも,水田の場合にはそんなに突飛な発想ではなく,土地のいじり方を昔並にせよ,と言う程度なのかもしれない。
一方,生物の側から見れば,こういうところは要するに自然湿地であったところなのだから,多様性の保全に一番貢献していたのは当然である。農家の労力とイネの出来が最低限クリアできる条件であれば,推進すべきであろう。
で,こういうプロジェクトで私(寄生虫屋)がどういう貢献ができるんでしょうか?