久留米をめぐる

一瞬、回文かと思った。
今日は久留米の気になるスポットを回る。まずは久留米駅から青少年科学館へ(しかし、久留米の町は道が複雑でわかりにくいぞ)。予想以上にでかくて立派な建物、でもって夏休み初日の子供たちで足の踏み場もない混雑ぶり。ほとんどの子は親に連れられて来ているようだが、みなさん御熱心なことである。ここで、この春から勤めている卒業生のYさんA君の立派な社会人ぶりをまずは見学。
次に、科学館隣の鳥類センターへ。鳥と若干の小動物の動物園プラス遊園地といった雰囲気。暑いせいか観客少なし。禽舎はこれといった工夫はないが、キジ類のコレクションはまずまず。セイランがいたのでちょっと嬉しい。換羽期なので羽がいっぱい落ちており、クジャクの上尾筒やダチョウの体羽などの収穫を得る。
その次は筑後川のほとりにある「筑後川発見館・くるめウス」へ。河川敷という立地の素晴らしさ、まるいモダンな建物、空間をゆったりと取った内部のつくり、おおこれぞ国交省テイストである。映像だの資料だのに走りがちな国交省であるが、ここは魚の水槽がなかなか凝っていてよろしい。
最後に、一番気になっていたところ、筑後川対岸の宮の陣へ行く。
ここは、昔日本住血吸虫が猖獗をきわめたところだ。ある本によると、ここでは昔住血吸虫症にかかった人が徴兵検査に通らず、兵隊にとられなかったため、病気は土地の神社の御利益であるとして参拝客が絶えなかったという。その神社が現存するのかどうか気になっていた。もしまだあるのなら、ぜひ一度行ってみたかった。
神社があったとおぼしい地域は、今は緑豊かな美しい公団住宅に変貌していた。病気はすでに撲滅されたが、「どうせなら田んぼをやめてしまおう」と思った人も多かったのだろう。住血吸虫症をなくすのに、水田耕作をやめて土地利用を変えてしまうのはもっとも確実な方法だ。もちろん、神社らしいものはどこにもない。
団地の住民の大半は地元出身ではなかろうし、寄生虫のことは何も知るまい。福岡県出身の学生でも、住血吸虫のことを知っている若者はほとんどいないのだ。これからは過去の歴史として忘れ去られていくだけなのだろう。