悪あがき

今年、院生のI君に新種の可能性が高い吸虫のシーケンスをしてもらうついでに、過去に私が新種記載した種(当時はまだDNAを扱っていなかったので形態記載のみ)を取り寄せてそちらも解析。ところが、今のところ、後者の配列がどうも別の既知種と近い。というより今まで調べた分ではほとんど差がない。同属とは言え形態的には誤同定するはずのない種類だし、比較対象の配列は他大学で調べられたものなので,コンタミも考えられない。可能性としては非常に近縁な別種か、それとも同一種が成育環境でかなり形態変化してしまっているか、である(ちなみに宿主はそれぞれ別種の魚)。どのみち、これだけ形態差があるのを同種と認定するにはかなり慎重な比較が必要なので,もう少し比較対象を増やすことにした。何よりも自分が記載した新種を自分の手で葬るのは悲しいのでもう少し悪あがきをしてもよいだろう。なおI君が見つけた本命の新種は間違いなく新種になりそうなので、こちらは早めに記載することにする。