大学の責任?

ご存知のように、ウチの大学の環濠にはアイガモが泳いでいます。大学の公式MV等ですっかり有名になってしまいました(?)が、現在は環濠でその姿を見ることは出来ません。県からの指導により、鳥インフルエンザ対策として放し飼いが認められないことになり、学生が作った小屋の中で飼育されるようになりました。なぜ鴨が飼われるようになったかというそもそもの由来は知らないのですが、現在は学生サークルが世話をしていて、時々ヒナを入手してきて鴨の補充もしています。

ところで、今の鴨小屋は簡単なもので台風などで壊れるおそれがあり(実際に壊れました)、もし飼育を続けるのならちゃんとした小屋を建てる必要があるのですが、それをめぐって現在、学生と指導教員と大学とがゴタゴタしています。おそらく、だれが鴨の世話に責任を持つのかがはっきりしていないためでしょう。ところが、ある教員が大学の施設部に掛け合ったところ「大学としては構内での鴨の飼育に反対してきた。鳥インフルエンザが発生した場合責任を問われる可能性があるから」と言われたそうです。伝聞なのでニュアンスはわかりませんが、「放し飼いに反対」ではなく「鴨の飼育自体に反対」と言っていると受け取れます。そうだとすると、私はこの発言には異を唱えます。

第一に、飼育を止めることによって本当に鳥インフルエンザのリスクを減らせるのかという問題です。飼育のアイガモは7,8羽ほどですが、環濠には毎冬、その数倍の野生カモが飛来します。彼らの方が感染症リスクが高いのは言うまでもありません(滋賀県では今までのところ、高病原性鳥インフルの陽性例はありませんが)。もし、近隣への鳥インフルの感染リスクを減らすというのなら、キャンパスから環濠をなくして水鳥が来られないようにするのが本筋です。飼育を停止して、高々数羽個体数が減ったところで、近隣への感染症リスクが下るとは考えられません。

第二に、学生の活動に何かのリスクを予測して、「だから活動には反対」というのであれば、怪我をしたら大学の責任になるから運動部には反対、外で交通事故を起されたら大学の責任になるから学外活動は反対…となり、学生の自主活動の大部分が認められないことになってしまいます。それは、高等教育機関のあるべき姿とは思えません。教育のやることは、きちんと条件や社会のルールを示した上で、学生の活動を後押しすることではないでしょうか?サークルの学生に「鴨の飼育を続けるなら部費等を集めて、国の指針に合うように舎飼いしなさい、それができないなら飼ってはいけません」と指導すれば済む話ではないでしょうか。

そう言う訳で今、大学の態度にかなりカチンと来ているので、交渉の矢面に立っている教員には、「大学が舎飼いであっても鴨飼育には反対』というのなら、『舎飼いで鳥インフルが発生し、外部から責任を問われる事態になったら浦部が責任を取ると伝えてください』」と言っておきました。サテどうなることやら。

 

※補足訂正。大学の施設は「構内での鴨の飼育に反対してきた」そうですが、「大学の責任」は交渉した教員ご自身の見解とのこと。そりゃ一般論として大学認可のサークルが社会のルール(例えば鳥を舎飼いすること)に反することをすれば大学の責任を問われる訳ですが、それと「もし鳥インフルが発生したときの大学の責任」をごっちゃにされているようです。後者の場合、大学に責任が発生するかどうかは状況によりけりですが、実際問題として県大の構内で鳥インフルが見つかる前には琵琶湖の水鳥が大量死するに決まっているので、県大の数羽の飼育鴨による感染リスク増大など、まったく現実的ではありません。