偉大すぎる先達

今調べている寄生虫の原記載者は越智シゲルという方で、1930年代に寄生虫の記載と生活史研究についてすぐれた研究業績を残している。所属は神戸船員病並熱帯医学研究所で、所長は日本住血吸虫の発見者として有名な桂田富士郎である。越智シゲルの寄生虫に関する記述はとても正確で、その後に同じ寄生虫を東大の五島清太郎と尾崎佳正が、さらにその後に山口左仲(3人とも、寄生虫研究者にとっては神様のような存在)が記載しているのだけれど、山口が論文中で「形態記載に関しては五島・尾崎論文よりも越智の方が正確」と評しているほど。ところで越智シゲル氏は女性なのであるが、1934年(昭和9)に慶應大学で医博を取得されていることを知ってさらにビックリ、というか戦前に日本の大学で博士とった女性っていたんですか!
*追記
東大では昭和2〜12年に合計21人の女性博士が誕生しているそうです。日本最初の女性による学位取得が昭和2年ですから、やはり昭和9年の女性博士というのはすごいです。