1回生のディベート大会最終回で,お題は「日本は2030年までに原発を全廃すべきである」という時事ど真ん中の論点。さすがに3回目となるとなかなか見ごたえのある試合展開をしてくれた。勿論ディベートは教育目的で行われる一種の競技なので肯定・否定の勝ち負けは置いておくとして、私がこの競技ディベートを見て感じたことは,学生は数値データの扱いに相当弱く、周囲を説得するためにどのような情報を伝えればよいのか分かっていないということだ。例えば,「原発の重大事故リスクは2000年に1度と考えられている」と言った時、それが原発1基あたりか日本全体の話か示さないとか、「原発の発電コストは火力の数倍」という試算値を、どういうコストを含めるとそういう結果になるのか全く示さずにぽんと出してしまい、説得力を失ってしまったりした。私も人の事は言えないかもしれないが,もっともらしい数字を並べられれば皆ころりと騙されてしまいそうな危うさを感じる。こういう弱さをたたき直していくのが科学リテラシーってやつだろう。