成田から1時間かけて第二回外来生物分布拡大の調査の勉強会会場である利根川河口堰事務所へ。東京からざっと2.5時間。
今日は皆さんに腹口吸虫の実物を見ていただくため、開始1時間前に会場へ到着し、やはり早めに来場されたK池さんとItokenさんの実体顕微鏡を拝借してムシ出しをした。昨日、大きめの個体を200余り採集して持っていたのだが、1個目を割ったところ、いきなり当たりが出た。2個目はハズレ、3個目がまたまた当たり。ということで、検査個体3つにして、2台の実体顕微鏡に展示する寄生虫があっさり確保されてしまった。感染率66.7%.
講演は、まずイガイ類の生態の専門家である三重大Kさんによるカワヒバリの生態の概説。3年前に大発生して問題になった群馬県の鏑川では、除去費用が1回二千万円だそうな。次に、Itokenさんによる利根川霞ヶ浦での実態報告と、農業用水における被害について。カワヒバリガイは水の流れに従って分散するため、上流へとたどっていくと移入の震源地が特定できるという点ではコモチカワツボによく似ている。そのあとが私の番で、寄生虫の判別法について。これは、最初のプログラムにはなかったのだが、Itokenさんに頼んで入れてもらった。霞ヶ浦は漁業者が多く、寄生虫の侵入はみな気にしているところらしいが、これだけ分布が広がってしまうと、ウチだけですべての検査を引き受けるということは難しくなってくる。それで、関係者の皆さんにも寄生虫の実物を見ていただいて、それぞれ自前で検査ができるようになっていただこうという魂胆である(寄生虫は、モノさえ覚えれば、実体顕微鏡ひとつで検査できる)。
午後は、飛び入り研究発表で、K高校生物部の皆さんによるコモチカワツボ防除法の実験結果について。

内容もしっかりしていたし、何よりも、高校生相手に全然手加減をしないおじさんおばさん達のイケズな質問に対して、まったく怖じ気づくことない堂々たる発表態度だった。たいしたもので、Kさんなどは早速「三重大を受験しない?」とスカウト活動をしていた。
その後は、寒風吹きすさぶ利根川での現場調査。

利根川河口堰.御多分に漏れず,霞ヶ浦シジミ漁獲も激減しているとのこと.カワヒバリ侵入の遠因である.

これだけ大きい川になると,浅瀬がほとんどないのでカワヒバリ採集も結構難儀である.Itokenさんの調査も大変だなあ.

テナガエビ漁の漬け網(とでも呼ぶのかな?)を引き揚げるとご覧の通り.