悪あがき

今年、院生のI君に新種の可能性が高い吸虫のシーケンスをしてもらうついでに、過去に私が新種記載した種(当時はまだDNAを扱っていなかったので形態記載のみ)を取り寄せてそちらも解析。ところが、今のところ、後者の配列がどうも別の既知種と近い。というより今まで調べた分ではほとんど差がない。同属とは言え形態的には誤同定するはずのない種類だし、比較対象の配列は他大学で調べられたものなので,コンタミも考えられない。可能性としては非常に近縁な別種か、それとも同一種が成育環境でかなり形態変化してしまっているか、である(ちなみに宿主はそれぞれ別種の魚)。どのみち、これだけ形態差があるのを同種と認定するにはかなり慎重な比較が必要なので,もう少し比較対象を増やすことにした。何よりも自分が記載した新種を自分の手で葬るのは悲しいのでもう少し悪あがきをしてもよいだろう。なおI君が見つけた本命の新種は間違いなく新種になりそうなので、こちらは早めに記載することにする。

生きてるよね?

修士Gさんの修論は新種報告がメインなので、早速投稿論文を書き始めた。しかし、1月に購読更新したはずのHelminthological Abstractsにアクセスできない。CABIのカスタマーサポートに2回メールしたが梨の礫。一昨年、同様のトラブルがあったときはコロナでイギリスの業務が十分回っていなかったのが原因だったが(社員が交代で半分ずつしか出勤していなかったらしい)、さすがにもうそんなことはないだろう。どうしたCABI…

岐阜へ

昨日ですが、学生の希望者4人を連れて自然共生研究センターの見学に行ってきました。私としてもセンター内部の見学は久しぶり(多分8年ぶりぐらい)です。昨年4月から新センター長に就任されたMさんのレクチャーにより、最近のセンターの研究成果を伺いました。また授業で使える話がいくつもあったので、こちらもアップデートしなければなりません。

また、実験河川の生物相も私がいた頃から随分変化してきているようでした。一時期、ドブガイが大量発生していたわんどは周辺の樹木が大きくなり、落ち葉が堆積して貝はあまりいなくなってしまったそうです。自然河川のたまりなら10年に一度ぐらいは大規模な出水によりフラッシュアウトされるのでしょうが、実験河川ではそうはいかないようです(時々泥出しはされているようですが)。

実験河川に地下水を導入できるバルブがつけられていて、いわば人工「湧水河川」が再現できるようになっていました。今、水温の違いが魚類相などに与える影響の調査が行われているそうです。

これはミニ遊水池。洪水の際に遊水地や霞堤にどのように水が出入りし、どうやって水が溜まるのかをテストするために作られたものです。この研究成果も早く聞きたいものです。

 

とんぼ返り

やっとコロナが下火になってきたので、1年3ヶ月ぶりに実家。ホームにいるオバアチャンを見舞い、自宅の生後10ヶ月のニューフェイスに会ってきた。せっかく関東に行くので寄りたい場所はいくつかあったが、今回は時間がなく、また後日。

第37回「寄生虫生態学・疫学談話会」のお知らせ

今月末の寄生虫学会の前日、3月29日の午後4時30分から,日本寄生虫学会サテライトミーティング・第37回「寄生虫生態学・疫学談話会」を金沢歌劇座において開催します。本年度は以下の2人の研究者の方にご講演を依頼しております。

藤森友太(明治大学大学院農学研究科・植物線虫学研究室)「ヤスデの腸管内における寄生性線虫の多重寄生」    

村越ふみ(京都府立医科大学・感染病態学) 「日本におけるクリプトスポリジウムおよびアイメリア共生ウイルスの検出と疫学解析」

なお現地+Zoom配信のハイブリッド開催となります。サテライトミーティングは非学会員でも自由参加できますので、オンライン参加ご希望のかたはメールにてお知らせいただければ談話会前日までにZoomミーティングルームIDとパスコードをお知らせいたします。