窓を開けて風を通せ

「環境研究倫理特論」アカハラの巻2回目。私はいつでも「大学の内部調査は所詮身内裁判なので甘くなる。ハラスメントが酷ければ酷いほど、警察へ届けるか弁護士へ相談することを考えろ」と講義して、外部のハラスメント相談専門機関などいくつかの連絡先も教えている(いつぞや理事長が参観にこられた時はとても渋い顔をされていた)。ところで、少し前の毎日新聞に、近々文科省が、大学生が第三者に相談できる体制をとっているかどうかの調査をするというニュースが出ていた。まだ調査段階であるが、おそらく、今後各大学にそのような体制づくりが求められるようになってくるのであろう。具体的にだれが「第三者」になるのかは判然としないが、ウチであればおそらく県の人権関係の部署などになるのだろうか。良い方向へ向かって動き始めたとは思うが、そのきっかけが甲南大生の自殺というのが痛ましすぎるし、あまりに遅すぎた取組であるとは思う。

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図書館ぐらいいいじゃない

明日からの推薦入試の準備のため、今日は全学休講である。と言っても教職員は休みではなく、この時とばかりがっつり会議が組まれていた。それでも今週は祭日と有休があったため、今週初めまでの自転車操業から一息ついて溜まっていた仕事を消化することができた。やれやれ。

また、最近の小中学校教科書ではどのように環境問題を教えているか調べたくなって、滋賀大教育学部の図書館へ行こうと考えていたが、調べてみたらコロナのため現在は学外者の入館者謝絶だという。滋賀ではもう6日連続で感染者が出ていないし、そもそも図書館で大声で喋る人もいないだろうから感染リスクもそうあるとは思えないが、なんとも融通のきかない話である。

5桁未到達

今日は川虫実習の最終日で、データのまとめです。

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今年は渇水のせいで調査地内に「淵」と呼べるところがほとんどなかったため、底生生物群集のバリエーションが少ないかな?と思いましたが、少数ながら岸の浅瀬にモンカゲロウやキイロカワカゲロウが出てきました。また、珍しい流水棲ミズスマシの幼虫が何匹か取れたのが面白かったです。あれ、そう言えばゲンジボタル幼虫もとれていたはずなのに、一覧に上がっていないな?

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3年ぶりに実施した流下ネット採集はえらいことになりました。おそらく渇水で昆虫が流心に集中していたせいでしょう。抜け殻の流下数は昼間も例年の10倍ぐらいあり、宵の流下数も意今までの最大値の倍以上、6,000を超えました。34人の学生が分担して数えて2時間以上もかかりました。カウントしている最中にはひょっとしたら5桁に乗るかと思いましたが、残念ながらそれには至りませんでした。

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講義2コマ

講義2コマ連チャンの日。1つ目は集水域保全、今日は今年から導入した「水温の保全」についての講義。日本ではほとんど取り組まれていない河岸植生復元による河川水温上昇抑制効果について、海外の代表的な研究と公的プロジェクトの紹介。河岸に植生(しかも日陰を作る高木がよい)を復元せよ、直射日射のはいる余地を減らせというのは現在の日本の河川の洪水対策の基本である河床拡張と河畔林の除去とは正反対の方向性である。落とし所はどこにあるのか私にもわからないが、学生諸君が問題の存在を意識してくれたなら嬉しい。

2つ目は「環境研究倫理特論」アカハラの1回目。この授業では、単に「受け手が不快であること」と定義されるアカハラだけでなく、学生の権利やコンプライアンスを軽視する研究室には十分気を付けろということを繰り返し強調している(これらの点は直ちに不快と感じないことも多いので、問題があるかどうか判断するにはいくらか知識が必要となる)。残念ながら大学という組織は今でもコンプライアンス遵守とは言えず、労働者の権利を無視した辞職勧告は学部によっては普通に行われているし、学位取得時の謝金の授受(国公立大学の場合贈収賄とみなされる)は今でもニュースになることを説明し、大学や研究所で働くということは、ある意味そういう旧来の悪習と戦いながら働くことになるのだと話した。「そんな学部には行きたくない」という感想を書いてくれた学生がいたが、正常な感想である。

 

長期戦

ネズミとの攻防戦はまだ続いています。写真は葉をかじられたサンチュの苗。

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大学に手配してもらった業者の毒餌箱も、自分で買った殺鼠剤も置いていますが、どれも一度少し口にすると、もうそのあとはまったく食べなくなりました。誘引のためサツマイモなどの餌を殺鼠剤の上に置いておくとイモだけきれいに食べている有様。花苗にはオルトランを撒いたので食われなくなりましたが、殺虫剤を撒けない野菜苗は集中的に食われてしまいます。

新しい苗を植えたり殺鼠剤を置いたりすると、だいたい3日は様子見をしているようです。その後、少量が「試食」され、それで大丈夫となると徹底的にやられます。ネズミは前の晩に自分が何を食べたか覚えていて、しかも食べ物の種類と後日の体調不良(?)の因果を考えて、次にそれを食べても良いかどうかの判断ができるのでしょうか。その慎重さと学習能力の高さにはほとほと感心しますが、いつになったら普通の野菜を作れるようになるのやら、困ったものです(今はニラなど、食害に遭わない野菜だけがなんとか残っています)。

 

自転車操業

今日は琵琶湖クルーズ2回目だったのだが、来週の授業準備がまだ全然できていないため免除してもらった(ありがとうBさん(汗))。今年から新たに付け加えた河川の水温環境に関する講義のため、集めておいた資料に目を通し、大切な図表をピックアップして授業のストーリーに沿って組み立てる作業。ほぼ全部がシミュレーションの論文なので数学に弱い私は理解がなかなか大変である。